「CuBox-iをでっかいUSBスピーカーにつないでradiko を聴けるようにしたい」 という要望をいただきました。さて、この課題を解決する方法にはいくつかのアプローチあるだろうと思いました。
まずは前提条件となることから明らかにしていきましょう。おすすめの機器構成を紹介する前に、CuBox-i側から見て技術的なことを先におさらいします。最初の課題は、CuBox-iをTVにつないで操作をすることになるのですが、TV画面からの操作を受け入れられるのかどうかです。実際の現場での使用をイメージすると、やはり操作性が問題となるかもしれません。操作する度にTV入力を切替えてしかもTV画面の前でマウス操作する場所を確保するということでは困る気がします。最低限でもワイヤレスKB/マウスにしなくてはならないでしょう。次のコラムで扱う予定ですが、GeeBoxを使う時にはTVのリモコンを操作に使えます。これがあれば運用時には最適かもしれません。
次に、技術的な確認が必要となるのですが、使うソフトウェア(OSのカーネル)によってはUSBに音が出ないかもしれません。CuBox-iのデフォルトになっているAndroid4.3ではHDMIとSPDIF(オプティカル)に音が出力されるのですが、通常USB出力に音が出力されるようにはなっていません。この場合、TVのスピーカーを使うのでなければ、SPDIFから光ケーブルでアンプ経由のスピーカー出力となります。一般にUSB機器にはドライバの問題がついてまわります。”USBオーディオ対応"を唱った機器以外ではハードウェアに対応したドライバが別途必要になります。USBでつなぐとするとカーネルへのドライバ追加となり、ソースレベルからのコンパイルにさかのぼる必要があります。動作の保証のあるドライバのソースが用意されていればトライできるが、そうでもないソースからの挑戦はかなり壁が高くおすすめできない。USB機器を購入の際は事前の確認が欠かせません。よくあるのですがWindows用のCDが付いているだけという機器も多く見受けるので注意しましょう。最近はハイレゾがちょっとしたブームになっているので、昔よりは手頃なUSBオーディオ対応の機器があるかもしれません。今回は、音源がradikoということなので、ハイレゾのクオリティは必要ないでしょう。USB出力でなくともSPDIFに光ケーブルをつなぐことでもよいのではないでしょうか。
CuBoxのSPDIFでは一点注意するべきことがあります。それは、SONYの光ケーブルなど、ケーブルの先のプラグ部分が出っ張っているものだと、CuBoxの外のハウジングにあたってしまいきちっと挿入できません。CuBoxのハウジングを外して(下の足の所に4カ所のビスがあります)SPDIFの四角い窓の4辺をそれぞれ1mm程度削ると挿せるようになります。また、ちょっとしたTIPSですが、SPDIFがアクティブになっている時にはこのコネクタの奥にあるLED(前面のLEDとは別のもの)が中のほうで赤く点灯しているので確認に使うとよいでしょう。
さて、以上の前提をふまえると課題の可能性は4つ。要望事項を完全カバーするソリューションはないのですがそれぞれの環境とインプリを確認していきましょう。
1.Android4.3にGooglePlayを入れ、radikoをインストールし、CuBox-iの出力をUSBまたはSPDIF経由で音を出します。メニュー操作時にはHDMI接続TV(モニタ)上で画面を見ながらマウス操作します
実のところが、radiko記事をリクエストいただいた方は、このやり方を紹介してもらいたいとのことでした。
それでは、と実際に確かめにかかったところ、CuBox-i
のAndroid4.3ではUSB音声はおろか、SPDIFにも出力されていませんでした。フォーラムでも、CPU的にはできそうだが、実際はダメだったと報告しています。http://imx.solid-run.com/forums/viewtopic.php?f=6&t=210
このAndroid上でできるようにするにはソースからのコンパイルで、相当の苦労がありそうです。また、通常のLinuxベースのアプリとは異なり、シリアル経由でのコンソールが使えません。今手がけるのはあまりお勧めできません。先陣をきって人柱覚悟でやれば拍手喝さいを得られますが、時間と労力を浪費しそうです。違うOSで行くほうがいいような気がします。リクエストいただいた方にはがっかりさせてすみません。(この記事を見て、なんだやってやるよ、という方がいれば是非、ネット上で紹介をよろしく、ここからもリンクさせていただきます)
HDMI出力の音声だけとはなりますが、Androidでやってみる参照先を紹介しておきます。
「実際に最新版のAndroidをインストールをしてみる」報告は別途コラムで紹介の予定です。
デフォルトのAndroidにGooglePlayだけを追加インストールのならばここ。
http://imx.solid-run.com/forums/viewtopic.php?f=6&t=416
あるいは、新しい完全バージョンのAndroid4.3をSDカードから作り直すならここ。
http://imx.solid-run.com/wiki/index.php?title=Android#Installation
ダウンロードするイメージは、このページにあります。
http://server.vijge.net/static/cubox/android/
SDにフラッシュする方法はここを参照するとできます。
http://imx.solid-run.com/wiki/index.php?title=Flash_an_image
追記:Androidにradikoをインストールすると、タブレットとして認識されるので、TV画面に対して90度回転した状態で表示されます。このままでは実用には問題です。しかも、アプリに入ると地域判定で進まなくなります。小手先の対処はあったとしても、いろいろな困難があります。
2.Ubuntu上でAdobe
Airとradikoガジェットをインストールする
PC上で動作させているUbuntuであればAdobe
Airをインストールして、ガジェットのradikoを使うことができます。同様にCuBoxでもできるかトライしてみると、CuBoxのUBUNTU12.10ではAdobe Airは'Sorry, 'Adobe Air' is not available for this type of
computer'と言われてしまいます。Adobeでの対応予定もなさそうなのでこれは無理。
(なお、FireFoxブラウザでの視聴も、Adobe Flash
Playerのインストールが必要となり、こちらも無理。)
3.XBMCを利用する。radikoのプラグインを追加する。
GeeXboxのオーディオ出力の設定をすることができるが、出力先として設定できないものがある。(USBでバイスを認識はしていても音が出ないことがある)SPDIFの出力のほうは問題なく使える。デジタルアンプ側での対応フォーマットとの相性で予期せぬ問題(多チャンネルのスピーカー構成ではノイズしか出てこないものがあるなど)が発生する可能性はあるかもしれません。バージョンとサポートフォーマットについて問題があったときはフォーラムなどで随時情報をチェックされたい。(勇気をだして投稿するとさらにいいです。あとから他の人の役にもたてます)
メニュー操作にはHDMI接続TV(モニタ)上で画面を見ながらワイヤレスKB(ソフトウェアキーボード)/マウスで行うこととなります。TV画面に出力時はHDMI経由で音声がTVからも鳴ります。GeeBoxメニューのSYSTEMからSystem->Audio output に進むと設定がありますが、通常はdefaultにしてあれば、SPDIFで出力されています。
**追記**
現在のバージョンでは、一見正常にインストールされますが、走らせるとエラーとなり使用できません。PCバージョンでしか動作しないようです。
GeeBox-iのインストールはCuBox-iのインストーラーを参照
http://cubox-i.com/install-os-on-micro-sd-flash-card/
radikoのpluginについてはこちらが参考になります
http://xbmc.inpane.com/main/heavy_user/script_radiko.php
4.Voyage
MuBoxを利用する。この場合にはサポートされるのがインターネットラジオとなるので、"radiko"を、ということでは要求を満たしていないことになります。
しかしながら、インターネットラジオを聴くこととしては有効なので、方法だけ紹介しておきたいと思います。Voyage MPDの /var/lib/mpd/playlists に m3u
という拡張子を持つファイルを作り、そこへ聴きたいネットラジオのURLを記述するというやり方となります。ワールドワイドなラジオ局を自分で選定するならばこのやり方が理にかなっています。URLの指定時に、直打ちのIP番号とポート番号の指定が必要となります。例で言うと、
http://206.223.188.169:8008/ /Title1=(#1 -
88/500) JAZZ FM 91 (CJRT-FM) - Oscar Peterson
聞きたい局のURL,
port番号は、例えばSHOUTCASTなどのようなサイトhttp://www.shoutcast.com/ か、各ラジオ局のポータルへ行って調べることになります。
それでは、手順について。Voyage
MuBoxをインストールします。デフォルトのものではインターネットラジオを聴けるようになっています(自分でソースからコンパイルするときには明示的に足す必要があります)。操作端末はスマホのMPDクライアント(MPodなど)を利用することにします。MuBoxではUSBオーディオ出力が使えます。ミュージックサーバーとして動作させると画面が表示されません。操作はスマホなどからMPDクライアントを使って操作することになります。操作性はTV画面+マウスよりもよいかもしれません。MPDクライアントアプリはその他にも、iPhone/Androidでそれぞれ無料のものが多数あります。このコラムでもVoyage
MuBoxの紹介でiPhone MPD クライアントが登場しています。
なお、Voyage MuBoxのインストールはMuBoxのページ参照。ネットでMuBox関連を検索すると先人たちの築き上げたノウハウがたくさんあります。はまってみると奥の深いハイレゾの楽しみを味わえます。
http://mubox.voyage.hk/cubox-i
(リンク切れなどは報告いただけるとありがたいです)
さて、ここまできて見えてきたことを踏まえて質問の「本題」のスピーカーを考えます。
CuBox-iで構成する再生設備側と音響設備側の接続は、光デジタルケーブル、もしくはHDMI経由という条件となります。操作をするのは、TV画面をみながら、マウスもしくはテレビリモコンを使って行うことになります。
私は音響の専門家ではないので、「400m2の事務所/店舗での音響にふさわしいスピーカー」を選定するという大それたことは出来ませんが、自分の耳で気に入っているものを紹介してみます。
(一般に商業施設向けの音響システムとなると桁が違うシステムになりがちです。本格的なアンプに天吊りや壁に取り付けるスピーカーとその音場を計算して配置することになるようです。工事代だけでぶっとんでしまいます。ここでは、そのようなプロシステムを考えて質問をいただいているとは思えないので、家庭・個人向けで明瞭な大きな音が出せるということで考えたいと思います。)
一見するとほんとにスピーカー?と思うようなものです。Bose Solo TV sound systemというスピーカーで、光デジタルの入力できます。TVの音声を良くするために作られたものでTVの下にも置けるように形状も平たいものですが、相当に大きな音に耐えられます。部屋中に音の回りがよく、しかも、うるさくなく落ち着きのある音で聞こえるのがとても好感もてます。今回は特にラジオ番組ということで、人の声が非常に解像度よく聞こえよいことでイチオシとしてみました。音量感が満足いくものかは、実際にショップで聞いていただくしかないでしょうか。
小さなCuBox-iにはこれくらいが似合いとも思うのですが、いかがでしょうか。質問者の意図が「見栄えのする大きなスピーカー」をイメージされてたとしたら期待外れかもしれません。
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